映画の話  2004年冬〜2004年初夏

 邦画にもっと頑張って欲しいんですけど。香港映画の方が面白いんだもんなー。

半落ち:感動物で、確かに涙ポロポロと泣きました。でも...底が浅い!人物が類型的で、原作はきっともっと深いんだろうな、と思ってしまう。ベタベタに情緒的に作り過ぎているのだと思う。俳優さん達はとっても熱演されているだけに惜しい。奈良岡朋子さんはさすがですね。彼女が出ただけで画面が締まる。

ミスティックリバー:ショーン・ペンは、アイ・アム・サムしか知らなかったんだけど、凄い役者さんなのね。思い出せば出すほど、ティム・ロビンスという役者さんも凄い。大きな背中で、ぼろぼろの人生を描ける。直前に観た映画と、人物造形の深さが違い過ぎて、泣けました。

リクルート:コリン・ファレルアル・パチーノ見たさ。ファレルにタフガイやスパイは似合わないでしょ。フォ−ンブース観たかった...パチーノから色気が無くなってきていて...でもラストは熱演。

ハリウッド的殺人事件:ハリソン・フォードは、こういう役なら大丈夫な人。「ハリウッド観光案内」だという評があったけど、ハリウッドを知らないから分りません。

ラブ・アクチュアリー:ヒュー・グラントは、英国首相役を演ってもダメ男なのね、と。リーアム・ニーソンコリン・ファースアラン・リックマンと、好みの男優陣が目白押し。特にリックマンがチャーミング。でも、それだけの映画じゃないです。明確なメッセージが、とても優しく、暖かい。特に「サラ」と「マーク」が好きですが、「サムとダニエル」も「ジュディとジョン」も好いし...バレンタイン映画ではないよね。

アバウト・シュミット(ビデオ):ジャック・ニコルソンは、地で演じているのではないかと思うほど。あまりにも身近過ぎる主人公に笑えない...傲慢で頑迷で利己的で、周囲のことも自分のことも全く見えていない老境の男。でも、製作者の彼を見る眼がとても温かい。終幕、心無いスピーチに白ける娘、自分の人生がそのスピーチと同じ位空っぽだと認識した彼の心を埋める贈り物が素晴らしいと思います。

スパイダー(ビデオ):以前、レッド・ドラゴンで犯人役を演じたレイフ・ファインズ主演の作品。同一人物とは思えない。クローネンバーグ監督がどういうつもりでこの映画を作成したかは分らない。空想と現実の境界が崩壊した主人公の世界は、彼を取り巻く人々によってより悲惨になっていく。あんなところで生活していれば、誰でも精神に異常をきたすだろう?主人公の孤独が辛い。

ストーカー(ビデオ):ロビン・ウィリアムスがストーカーを演じるというので期待して見た作品。違う。これは、邦題を付けた配給元が悪いと思う。原題は納得できる。痛い物語。ひたすらに家族を求める主人公。逮捕される瞬間の彼の瞳が赤ん坊のように見える。最後に彼が見入る自分の写真が哀しい。

デッドマン・ウォーキング(ビデオ):ションーン・ペンスーザン・サランドンの映画。2人とも素晴らしいけれど、特にションーン・ペンの目の演技がすごい。シスターに初めて会った時の目、自分の罪を告白した時の目、最後の目。全部が物語を語っている。犯罪者の死によって、被害者の家族は救われるのだろうか?サランドンが演じる尼僧は、本当の神への信仰と祈りを手に入れる。ペン演じる殺人犯は、最後に罪を悔いる。けれど、被害者の家族は憎しみから永遠に解き放たれることはない。自らそれを捨てない限り。そして、犯人の死刑により、その機会の多くは失われたのだと思う。

ネイビー・シールズ(ビデオ・日本語吹替え版):隊長役のマイケル・ビーンの声を池田秀一さんが担当していました!パッケージに声優が書いてなかったので「当たり!」と思っちゃいましたよ。10年以上前の作品。進歩がないね...

ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還:原作を読んだ時から思っていたが、主人公は「サム」だろう?多少原作とは違っているところもあるけれど、時間的な制限は仕方がないし、物語の根幹部分はきっちりと抑えていると思う。確かにCGを多用した戦闘シーンはコンピューターゲームみたいなところがあるけれど、他の作品よりも違和感がないと思いました。DVDで3作とも買います。

閉ざされた森(ビデオ):サミュエル・L・ジャクソン見たさ。ジョン・トラボルタ主演映画って、最近は「正義のためならば手段は問題ではない」という話が多いように思う。ひねりがあって、物語としては途中まで面白かったんだけど。

ライフ・オブ・デビッド・ゲイル(ビデオ):途中で真相が見えてしまいました。ケビン・スペイシー演じる主人公が1度殺されてしまっているから。でも、最後まで目が離せなかったし、感動しました。「死刑」制度が主題なんだけど、その主張だけではなく、上質のミステリーだし、「死」そのものも主題ではないかと思う。

恋愛小説家(ビデオ):周囲が見えていなくて、やること為すこと嫌われる忌々しいクソ親父役を演らせたら他に並ぶ人がいないんじゃないか?ジャック・ニコルソン。傷つきたくないから、周囲に無関心になる。自分の事しか考えられない。でも、悪気はない。差別的な発言も多いけれど、実は本人は意味をちゃんと理解できていないだけだったりする。自分のことをとても上質な人間だと思っている。ハッピーエンドではない映画だと思う。これからが、大変だあ!

8月のメモワール(ビデオ):イライジャ・ウッドは、子役からの役者さんなんですね。この頃から目の力強さと表情の豊かさが素晴らしい。良い物語なのだとは思うけれど、今の現実と見比べると、薄っぺらに見えてしまう...

イノセンス:大塚明夫山寺宏一竹中直人。引用がうざったくって。米国映画のマトリックスへの影響が取り沙汰されることが多いけれど、本作自身ブレードランナーの影響を全く隠していない。

レジェンド・オブ・メキシコ:ギャグ映画?うがった見方をすれば、胸の悪くなるような皮肉に溢れたパロディ映画。

ホテル・ビーナス:草なぎクンのファンならば、必見。入魂の演技。でも、前向きの人が作った映画なのね。前向きの人が後向きの人を描こうとするとこうなるという典型的な例。英語偏重の日本への皮肉もあり、ラストはちょっと意外でした。

CASSHERN:唐沢寿明さんが主人公だろう、という映画。要潤以外悪役の名前が作品中に登場しないのにクレジットには登場する。豪華なパンフレットを見ても、元のテレビアニメを知らない人間には分り難いところもあると思う。映像は見事だし、製作者の熱意は溢れているし、作品中に思いが詰め込まれている。ただ、結局、この手の日本物は「神様」に逃げちゃうんだよね...

オーシャン・オブ・ファイアー:馬が主演の映画。とにかく、馬。主人公が後向きになる度に、馬が立ち直らせる。それが「嘘」に見えない馬の演技。最後、野生馬の群れが疾走するシーンは、本当に感動しました!

トロイ:ブラッド・ピットが頑張っていましたが、確かに主役は彼ですが、エリック・バナの勝ちでしょう。オーランド・ブルームは、儲け役。甘えん坊の王子様が立派な王子へと成長していく姿は凛々しいぞ!ピーター・オトウールも儲け役。神話を描かなかったのは評価しますが、文句はある。アガメムノンは、あんな下品で傲慢で愚劣なおっさんではなーい!

クリムゾン・リバー2:前作の質を期待してはいけないのね。12使徒の伏線って、どこへ消えたのでしょう?思わぬところでクリストファー・リーが観られたから良しとします。

Big Fish:人生は、単純に楽感的に前向きに考えた方が勝ちなんだよ!という、観て幸せな気分になれる映画。幸福な人生って、こういうものだと思える。

21グラム:この映画は、予備知識なしに観た方が良いと思う。そして、複数回観る。1回じゃ分り難いだろうから。レビュー記事を2本も読んでから観た自分は、すごく損したような気がする。「21グラム」の意味は、分る人にはすぐに分る数値。脚本を入手したい、DVDが出たら買うぞ、みたいな。

予定
リクルート」行きたいですが、どうなるか。=>行きました。
指輪物語 王の帰還」何がなんでも行く!=>ぶっちぎって、行きました。
ラブ・アクチュアリー」行きたいんだけど...=>行きました。
この世の外へ クラブ進駐軍」邦画への期待なのよ。=>時間切れ。
ニューオーリンズ・トライアル」おじさんからパワーをもらいたい。=>無理でした。
レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」どっかなー。=>行ったけど...