映画の話  2008年初夏〜2008年秋

 少しは映画を観たい気になってきた2008年4月末。見損ねた映画をレンタルビデオ屋から借りてきてまとめ観しているG.W.。観たい映画が目白押しの2008年初夏から秋です。

椿三十郎(1962年版 DVD):織田裕二さんは、結構三船敏郎さんの言い方などを研究していたのだと分かりました、でも、やはり素浪人らしさは三船敏郎のが上だし、頼もしさも上。うっわー、この役者さん、若いー!とか思って観てしまいました。

傷だらけの男たち(DVD):トニー・レオン金城武の共演とくれば、観ないわけにはいかなかったんですが...映画館で観たかったなあ...インファナルアフェアほどではありませんでしたが、なかなか好みでした。途中でネタばれするけどね。映画館で観たかった...

ディパーテッド(DVD):マット・デイモンレオナルド・ディカプリオが、完全にジャックト・ニコルソンに食われてました。インファナル・アフェアの方が私には好みでした。米国の人種差別(黒人だけでなく、イタリア系、アイルランド系、東洋系、他、特にプエルトリカンに対しても根強い差別があります)の実情を背景にして物語に深みを持たせようとしたのは分かりますが、その分、主人公2人の苦悩が薄まった印象を受けました。なぜ彼は組織を裏切るのか?なぜ彼は自分の死を覚悟してまでも戦おうとするのか?ネズミが「上昇志向」を持ったとか、そういう意味じゃないはずなんだけど。米国だと「セレブの仲間入り」が目標、みたいになっちゃうのかな、とラストシーンで思ってしまいました。

相棒 劇場版:最近よくある人気テレビシリーズの劇場版。キャストも豪華なら、舞台も派手、時事問題まで取り上げて、と盛りだくさん。確かに、映画でなければ作れない大きさには仕上がっているとは思います。テレビシリーズを全部見てないと訳分からん気もしますが。あ、私は分かりました。2時間ドラマの頃から見てましたから。というわけで、楽しめましたです。

つぐない:
もう一度映画館の大スクリーンで観たい!と思いました。美しい映像、豊かな音楽、残酷で哀しい物語。ある映画評論家が、あのラストでは「贖罪」にはならない、と述べていましたが、主人公自身も罪の償いになったとは思っていないでしょう。ただ、彼女にはああいう方法しか残されていなかった。ああ、観たい...

オズの魔法使い(DVD):期待が大きかっただけに...原作も好きだし。たぶん、良い映画だと思います。歌も良いし、当時としては凝った演出でしょう。ただ、教訓臭すぎ。私には、原作のイメージと合わなかったです。

タイム・マシン(1960年版 DVD):あまり期待していなかっただけに、嬉しい1作でした!すごく衝撃的な話のはずですが、どこかのどかな印象を受けるのは、手作り感と作り手の暖かさではないかと思います。特典映像中のミニドラマが、また泣けました。

最高の人生の見つけ方:ジャック・ニコルソンモーガン・フリーマンという二大俳優を使って魅せる贅沢な映画。これはもう、大画面で観ないと、という豪華な風景。フリーマンは眼で語る人ですね。確かに期待通りの筋なんだけど、ラストはちょっとひねりがあって、泣き笑いでした。

ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛:まあ、面白かったですが...原作ってこうだったっけ?それから、戦闘シーンが多かったのがちょっと辛かったかな。なぜアスランが最初から来ないのか、ルーシーにしか見えなかったのか、原作の意図を知っている人なら分かるけど、子供心には納得いかなかったんだよなあ。

アフタースクール:最近、こういう大作でなく、それなりに作り手が頑張っている邦画が良い意味で増えている気がします。芸術作品でなく、ちょっと凝っていて、大上段に振りかざしてなくて、楽しく笑えて、ちょっとジンとくるような。こういう映画が増えて欲しいです。

山のあなた 徳市の恋:昭和の映画というと三浦友和堤真一なのでしょうか?大概、どちらかが出ているような気がします。古き良き時代への憧憬と敬愛が主題のような気がしました。かつての日本はこういう美しさを持っていた、と。

インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国:ちょっと嫌な描写もあります。ああ、アメリカ人って感じ。素直に楽しむべきなんでしょうね。

西の魔女が死んだ:思い切って観に行って良かったと思います。時間の都合とか、色々考えたんですよ。これを選んで大正解でした。客の入りが少なかったなあ...もっと大勢の人に観て欲しい作品だと思いました。

イースタン・プロミス:凄いですね、ナオミ・ワッツが脇役に見えてしまう。ヴァンサン・カッセルが駄目男でいいんだ、これが!もちろん、ヴィゴ・モーテンセンは本当に凄いです。暗く重たい灰色の雲、土の湿った黴くさい臭い、鉄と腐った血の臭い。そんな物を感じる映画でした。

歩いても 歩いても:とても日本的な映画だと思います。樹木希林がすごいです。演技とは思えないというか、本当に役になりきっているというか。家族って、キレイ事じゃない。どこにでもある日本の「平凡な」家族。カップルで見ちゃダメだな。

スピード・レーサー:個人的にはマトリックスの2作目以降よりは、こっちの方が好きです。遊び心満載。真田広之さんが、ちょっとした役で出ているのですが、存在感がある。しかも、英語が上手くなってる..時間の関係で観たんだけど、拾い物。

告発のとき:これ、実話が下になっている点がすごいです。トミー・リー・ジョーンズのはまり役も良いけど、シャーリーズ・セロンがかわい子ちゃんでない、硬派女優で良い!人殺しを是としなくてはならなくなった時、人は自分の心を守るために壊れていくしかないのか?戦争の恐ろしさは、戦地を経験した人にしか分からないのかもしれません。

ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌:緒形拳観たさに行きましたが、佐野史郎が凄い!メチャクチャ楽しそう!気がつくと、えらく豪華なキャスティングですな。ただ、妖怪の造形が凝った所とオモチャにしか見えない所に大きく分かれていて、作りが中途半端な気がしました。でも、皆さん楽しそうで、そういうところが観ていて分かるから、楽しかったです。

崖の上のポニョ:絵は本当にキレイ。あれが手描きのアニメーションか!というくらいに美しいし、よく動く、動く。色彩も見事。子供の動きも、ああ、本当に5歳児だ、と思えるくらい自然。でも、そこまででした。感情移入できるかどうかが勝負な作品。

ドラゴン・キングダム:ジャッキー・チェンジェット・リー(リー・リンチェイ)の共演を楽しむ映画。2人とも1人2役だし。冴えない主人公の成長物語でもあり、アメリカのカンフーヲタクの夢と冒険の物語としても楽しめました。とにかく、主人公が全くハンサムじゃないし、単細胞で思慮が浅いし、少しくらい修行してもどうってことないわけで、そういうところが良かったです!。

ダークナイト:クリスチャン・ベールマイケル・ケインの会話のシーンが最高!「光の騎士」が堕ちていく様が、フェリーの乗客の選択が、ヒース・レジャーの狂気が、「暗黒の騎士」の意味が、ただのコミックの映画化でなく、現実の映し絵の映画として胸に迫りました。ゲーリー・オールドマンが老けたなあ...

カンフー・パンダ(吹き替え):山口君の「どんだけー!」が聞けたから良し、と。中国とCGって合わないことが多いのですが、よく出来てました。

ハムナプトラ3:ジェット・リー(リー・リンチェイ)の良さが全く活かしきれていません!悪役でも、彼には皇帝役は無理です。しかも変身したドラゴンはキングギドラだし。皇帝を蘇らせようとする妖術まで会得した悪の将軍とかならいけたと思うんですけどね。

ハプニング:M・ナイト・シャマラン監督作の中では、シックス・センス以降ではこれが1番好きかな。最後のどんでん返しが無いとか、あっと驚く仕掛けが無いとか言われてますが、直球な方が好きなので。

スカイ・クロラ:谷原さんは頑張ってましたが、悪いけど俳優さんが下手過ぎ。本当に上手い俳優さんは声の演技も上手いの。でも、今の俳優さんは素人に毛が生えた程度です。きちんと声でも演技できる人にしていただきたかった。榊原さんとの差が歴然。ストーリーは向き不向きがあると思うし、私はあまり押井節が好きではない点、それと、航空帽を被せてしまうと誰だか区別がつきにくい画力で減点。

大決戦!超ウルトラ8兄弟:ナレーションが石坂浩二さんというところから見ても、本当のターゲットは中年以上じゃないか?という気がするんですが。だいたい、主人公の年頃でウルトラマンをリアルタイムで見てるわけがない!しかも、カラーテレビなんて余程の金持ちだぞー!細かいところに、おお!この人が!みたいなところが凝っていて、思っていたよりずっと面白かったです。岸田森さんの遺影とかね。さすがに全部のシリーズは見ていないので、他にも何人かいた気がするのですが、8人に絞った理由って何?とか。メビウス面白かったしな。しかし、いい年して1人で観に行ってる人なんていなかったよ...

おくりびと:最初のシーンから、笑いが出てました。葬式って、遺された人の場なんだよね。最後は、まあ、お決まりなんだけど、涙が出ました。私は、世話になった祖父母の葬儀には出ましたが、納棺には立ち会っていません。そんなことも思い出しました。

アイアンマン:アメリカ的な、あまりにもアメリカ的な作品。少しは風刺も入っていますが、気楽に楽しむのがベストでしょう。続編作る予定があるのかな?サミュエル・L・ジャクソンが妙に印象的な役なんだなあ。

容疑者Xの献身:堤真一さんがいい!何本かの映画に出演していらっしゃる姿は見ていましたが、今作は本当に力演でした。テレビ版を見てないし、原作も読んでいないので、映画版でどうの、とは言えません。ただ、アルプスの山々のシーンさえなければテレビスペシャルで十分と思っちゃいました。

ウォンテッド:モーガン・フリーマンアンジェリーナ・ジョリー、それにつぐないジェームズ・マカヴォイとくれば観ないわけにはいきません。とにかくアクション!テーマなんぞどうでもいいんでアクション!ジェームズ・マカヴォイつぐないと全く違う演技で、しかも劇中内でも全く違う人物へと変貌する役で、全く違う顔になる役者さんだと思いました。そして、アンジェリーナ・ジョリー!格好良い!カーッコイー!ウォー!ファンなら速攻観るべし!

レッドクリフ part I(日本語吹き替え版):トニー・レオン金城武、それだけで行きますわな。アクションは美麗ですが、相変らず中国の風景にはCGは合いません。実景が素晴らしすぎるので、CGの薄っぺらさが目立ってしまいます。自覚すべきですよ、中国!自国の素晴らしい宝なんですから。俳優は頑張っていましたが、人物造形が原作に頼りすぎていて弱いように思えました。内面の作り込みが脚本や演出に弱い。俳優が頑張っても、それをすくい上げていないように見えました。ま、次回作も観に行きますけど。ええ、絶対に。


観たい映画その1:「ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛」 <= 初日にGO!
観たい映画その2:「インディ・ショーンズ クリスタル・スカルの王国
<= まあ、こんなものかな
観たい映画その3:「最高の人生の見つけ方」 <= 大画面で観て良かった!
観たい映画その4:「RED CLIFF」 <= アクションは美しかったです
観たい映画その5:「アフタースクール」 <= 面白かったでっす!

観たい映画その6:「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」 <= 豪華キャストに感動...
観たい映画その7:「崖の上のポニョ」 <= 絵は根性入ってたし、キレイだったけど。