カード大好き!:過去記事

週1連載で、1枚のカードへの思いを語るコーナーです。
様々なタロットデッキから、毎回1枚を選んで掲載しています。
左の画像は、アルフレッド・ダグラス著「THE TAROT」の表紙。欲しくてたまらないデッキです。
2003年分
ようやく、1年経ちました。3日坊主返上です!

2004/01/04
ANANDA TAROT」の「KELCHE X
「杯の10」が好きです。幸福の象徴のように思えるから。
「10」は充足、満ち足りた和だと思います。
心の充足ほどの幸福はないのではないでしょうか。

「1」の「始まり」というか生命のほとばしりのような力強さも良いですが、年取ると疲れちゃって。
ゆったりと落ち着いた「ゆとりある生活」というものに憧れてしまいます。
年寄り臭いですね...

構図が「KELCHE A」とほぼ同じながら、こちらはグラスが床に着いています。そして、年を経て熟成したような赤葡萄酒。
年を重ねてこそ本物だと思えるようになった今日この頃です。

2004/01/11
TAROCCHI Del CELTI」の「0 Il Matto
LO SCARABEO社の「TAROCCHI D'ARTE」シリーズです。
元々占い用というよりは、画家達が自由に解釈している部分があります。
これは、画家というよりもマンガ家ですね。Jacovittiという方です。

結構ブラックです。
自分自身を真っ二つに切った男が持つのこぎりには血が付いています。
おマルに座る小柄な男は、従来の愚者の姿でしょう(愚者には尻を出したものが多い)。
全カードを通じて、腸詰と地面に突き刺さった棒が出てきます。

おふざけ物と言い切れない気がします。
製作者は色々と意図があるのではないかと。
全編がイタリア語で、添付のリーフレット(解説書ではなく)もイタリア語。
勉強しないと駄目かな...

2004/01/18
「MERRYDAY TAROT」の「12 Journeyman
大アルカナに独自色の強いタロットです。
基本はライダー・ウェイト系だと思います。

一般的には「吊られた男」ですよね。
それが、「旅人」。
しかも全裸で無毛の翼人です。
棒と槍、背後には円盤、手に持っているのは何でしょうか?
泡が出ているところから、水に関係しているように思います。
足元は、波立つ水でしょう。

このカードのキーワ−ドは「変化、動き」だと読めます。
12番のカードって、「停滞」と取ることが多いですが。

「吊られた男」自体、不思議なカードではあります。
ちょっと、「12」について考えて見ようかと思います。

2004/01/25
「BRUEGEL TAROT」の「ACE OF CHALICES
16世紀のオランダでプロテスタントの庶民生活を描いた画家Bruegelの作風で描いたタロットとのこと。
このカードは、一般的には「杯の1」です。

どう見ても妊娠している女性です。
左手に持つのは「杯」というよりは「瓶」です。中には人参やアスパラガスなどの野菜が入っています。
瓶には、金星または女性をあらわす記号が刻まれています。
足元には丸々とした猫。背後に見えるのは、彼女の家の倉庫でしょうか。

最初、「女帝」のカードかと思いました。彼女の被る帽子には可愛らしい花飾りがありますし。右手に持っているのは腸詰?
画像では見難いですが、彼女の表情は何とも言えず満足げです。
季節は冬。我が子の誕生と芽吹き、二重の意味で春を待つ喜びといったところでしょうか。

2004/02/01
「NEW CENTURY TAROT」の「XV THE DEVIL
1枚だけ取り出してもあまり面白くないですね。
デッキ全体に流れがあるように思います。

背後の赤い樹木と下を流れる川と石河原のようなものが全体の特徴です。
それと、樹木の下の野原というか、ここがカードによって違います。

悪魔は、まあ普通でしょう。翼にハートマークと目がたくさん描かれています。
男性器は明記されていますが、胸がないです。

悪魔の足元、左側にいる男性が気になります。
髪形が、どうも変な気がします。
しかも、腰の部分を赤い布で覆っています。

何か、不自然な気がします。
メッセージがたくさんあるのに届いて来ないというか。
ゆっくり、じっくり見たいカードです。

2004/02/08
「THE GREENWOOD TAROT」の「Ten of Arrows Instruction
このカードは「剣の10」に相当します。
タイトルからも、絵からも、親が子に教え伝えるという意味だと分ります。
添付の解説書にもそうありました。
しかし...

他のカードから、ウェイト・ライダー系に近い解釈だと思いました。
ウェイト版を御存知の方ならば「剣の10」が全く異なる意味だと分るでしょう。
そして、私は最初にこのカードを見た時には、ウェイト版の意味と取りました。

狩猟民族であるならば、幼少の頃から弓矢や剣の扱い方を学ぶのは当然でしょう。
鶏の唐揚が好きなのに、鶏を殺すのを残酷だと言うのは矛盾しています。
私たちは他者の命を食べて生きています。
それでも、絵の中の幼い子供が構える矢の先に人の影を見てしまう自分の、この生きている時代が呪わしいと思う今日この頃です。

2004/02/15
「The GLASTONBURY TAROT」の「0 THE FOOL PERCIVAL」
英国のタロットです。アーサー王伝説です。
あまり知らないのですよ...

アーサー王伝説は、聖杯伝説にも通じているそうで、ライダー・ウェイト系を学ぶには避けては通れない道なのです。
しかし、どうにもさぼっています。

パルシバルはアーサー王に仕えた騎士ですが、王の妻ギネビアと愛し合ってしまい、不義と不忠に悩んで城から逃亡する...だったと思うのですが。
光を放つ城はアーサー王の居城でしょう。
城を眺めながら帰ることのできないパルシバル。
こういう人間関係の話って苦手なんですよ。
でも、このデッキはとっても気に入ってしまいました。
一生勉強ですね...
間違い!:ギネビアと愛し合う騎士は、パルシバルではなく、ランスロットでした。パルシバルは、聖杯を求めて旅立つ騎士の1人です。聖杯を持ち帰るのは、アーサーの息子のガラハッドだったと思うのですが、某映画ではパルシバルになっていました。勉強不足です。ごめんなさい!

2004/02/19
Tarot for Cats Unlock the Mysteries of Your Nine Lives!」の「XX. JUDGMENT」
ペットショップのショウウィンドウ越しに子猫たちを眺める仲良さそうな家族連れ。
私には何とも皮肉な光景に見えます。

子猫たちにも親はいたはずです。彼らは、母猫から引き離されたのです。
彼らを買う人たちは、何かの基準で彼らを選び、自分たちの家族の一員として迎えます。
そして、買われなかった猫たちはどうなるでしょうか?

このカードは私には喪失と再生に見えます。
猫は生きています。玩具ではありません。

2004/02/29
「Rider Tarot」の「Sword IV」
しばしば、「死」のカードではない、との註釈が付けられるカードです。

左上のステンドグラスは聖母子なのでしょうか?
右上の剣は、飾られているだけのようです。
横たわる騎士風の人物は祈るように手を合わせています。
彼が横たわっているのは、棺の上でしょうか?
聖櫃とも取れますね。

ステンドグラスの鮮やかな色彩に比べ、人物と台が黄色一色なのが気になります。
金色の気がします。
時は静止し、何かを待っている、そんなイメージを私は持っています。

2004/03/07
「TAROT EGIPCIO」の「13 La Muerte」
単純というか、非常にシンプルな絵柄です。
古代エジプトの犬頭の神が大きな鎌で実った麦の穂を刈っています。
とてもストレートです。

上の枠に描かれている鳥は魂の象徴でしょうか?
下枠は、ナイル川の流れにも見えます。
投じられている松明は、死者への送り火でしょうか。

星座記号や惑星記号やヘブライ文字も描かれてはいます。
でも、私には、このシンプルな絵柄がとても心地好い気がします。

2004/03/14
「ムーンプリンセス タロット占い」の「I THE MAGICIAN」
どこかの化粧品会社の広告で見たような、女性向きの絵柄のタロットです。
この魔術師、女性に見えませんか?
「愚者」は男性に見えるんですけどね。
「世界」や「審判」恋人」の天使が女性にしか見えません。

マルセーユ系タロットの「魔術師」も中性っぽい気がします。
それに、気取った感じもします。
このカードは、その「気取った」感じが気に入っています。
背景や靴の色は金色なんですよ!
「魔術師」は本来は「大道芸人」や「奇術師」だったともいいます。
度胸とハッタリが必要で、謙虚さは要らないのかもしれません。

2004/03/21
「Zukunfts Tarot」の「VII. Der Wagen」
私は手が小さいので、大きなカードは好みません。
しかし、時々、もっと大きなカードにしてくれれば!と思うデッキに出会います。
絵をじっくりと見たい、このデッキは、その代表格です。

中東風の黄金色の衣装に身を包んだ男性が乗る馬車が、草花の咲き乱れる豊かな草原を走っています。
このデッキの特徴として、人体が他と融合しているものが多いのです。
馬車らしきものが見えません。ひょっとしたら、馬車と人体が融合しているのかもしれません。
もっと細かく見たら、馬車が見えるのかもしれないのですが。

男性の顔が、中東系にもアフリカ系にも見えます。
本来は、とても豊かだったかの地域を砂漠や荒地に変えていっているのは、人の所業です。
チグリス・ユーフラテス川周辺に栄えたメソポタミア文明ですら、塩害によって土地を荒らしたそうです。
目先の利益ではなく、他との調和を考えなければならないのだと思います。

2004/03/28
「AQUARIAN TAROT」の「IX. THE HERMIT」
細かいようですが、隠者が右向きのカードというのは、あまり覚えがありません。
「右」って、過去のような気がします。
何となく、ですが。

以前、どれかのタロット本で「隠者が上を向いているか下を向いているかで意味が異なる」とあったように思います。
このカードの隠者は、右を向き、さらに下の方を見ている気がします。
手に持ったランプの光が彼の行き先を照らしているのか、足元を照らしているのかは分りません。

その時々で気になるカードや、しっくりくるカードが変わります。
今の私には、このカードが何となくしっくりと馴染むように思います。

2004/04/04
「運命が見えるタロット占い」の「21 THE WORLD」
卵ですね。卵。玉子とも書きます。
卵の中には、1つの完全な生命があります。
宇宙全体を卵であるとする考えもあります。
1つの完結した世界を表すわけです。

いわゆるパワーストーンと言われる石(貴石の類が多いですね)を卵形にしたものが売られています。
球形、勾玉形、ハート形、方形、と色々あります。
なぜ、卵形なのでしょう?
見ていて気持ちが良いのだからだと思っています。
心地好い形というか、安心できる形というか。
力学的に理に敵った形なのでしょうけれど、美しいと思います。

2004/04/11
TAROT FORTUNETELLING」の「XIII」
同人サークルのタロットです。
どこかの出版社か何かが「タロットを作ろう」みたいな催しをやったようです。
他にも1つ同人タロットを持っていますが、作りがよく似ています。

花はマーガレットでしょうか?白と黄色の花です。
窓の向こう側にいるのは、死神らしき少女。右手にナイフを持っています。
涙を浮かべたテディベアが何とも違和感があります。

窓枠には「Death」の文字があります。
「死」や「再生」のイメージがあまり湧かないんですよね。
たぶん、そういう人が作ったタロットではないかと思います。

2004/04/18
Whimsical Tarot」の「VI The Lovers」
「美女と野獣」であります。
甘々です。
この画像では判りづらいですが、すごく幸せそうなカップルです。
満月がこうこうと照らし、美しい花が咲き乱れる夜の庭園を2人は手を取り合っています。
踊っているようでもあります。

本来、「恋人」のカードはこんな感じではないような気もします。
でも、好きなんですよ、このカード。
時には、こういう暖かなイメージを楽しみたいと思うのでした。

2004/04/25
「Camoin Tarot」の「II LA・PAPESSE」
一般的には女教皇です。
「カモワン・タロット」の訳では「斎王」ですね。
私はこのカードを見る度に、ヤマタイ国の卑弥呼を思い出します。
そして、真実の予言をしながら、誰一人からも信じてもらえなかったトロイの王女カサンドラを思い出します。

解説書には、彼女は孤独に見えても退屈ではない、とあります。
でも、幸せなのでしょうか?
彼女の膝の上に開かれている真実の書の中には、あらゆる知識が詰まっているかもしれません。
では、何のための知識でしょう?
知識もまた、道具だと私は思います。
書を読み、座して瞑想する彼女は、ある種の迷宮にいるように、私には思えるのです。

2004/05/02
「EL GRAN TAROT ESOTERICO」の「VIII LA JUSTICIA」
これは「正義」のカードですが、童画風の絵柄で残酷な内容に見えます。
まず、どう見ても男性ですよね。
「正義」は「裁判の女神」と題されることがあるくらいで、女性であることが多いのですが。
そして、片手の剣はよくあることとして、もう片方の手には天秤が一般的。
このカードでは、人を逆さにぶら下げて、片方の剣で切るか叩くか(罰?)しようとしているように見えます。

実は、このデッキ、他のカードもかなり意味深です。
「女帝」が蝙蝠の翼を付けていたりします。
付属リーフレットの英文には、一般的なタロットの話しか書いていないのですが。
それと、このカードに蟹座のマークも???
蟹座は、「戦車」「節制」「月(本来は魚座?)」などの説が多いと思ったのですけど。
私としては、正義らしいと思う1枚です。

2004/05/09
「AQUARIAN TAROT」の「II THE HIGH PRIESTESS」
「女教皇」のカードは白や青系でまとめられていることが多いと思います。
神秘性や処女性を表すからでしょう。
でも、赤は位の高さを表す色でもあります。
そして、黒は世俗との別離を表す色でもあります。

背景に山に囲まれた城が見えます。
私は、この女性が馬車に乗っていると思っていました。
馬車に乗って、どこか遠くへ行くのだと。
なぜでしょうね。
今もそう思っています。

2004/05/16
「月刊Gファンタジー付録 タロットカード」の「4 THE EMPEROR」
人気コミック「鋼の錬金術師」の主人公、エドワード・エルリック君です。
このタロットは、22枚全部が異なるマンガ家さんによって書かれています。

個人的にはロイ・マスタング大佐の方が皇帝には合うと思います。
でも、これもなかなか雰囲気は出ていますよね。

皇帝を示す赤い布と鷲。玉座と組んだ足と足元の玉。
参考にしたカードの材料だけでなく、自分でも多少はタロットをかじったんだな、と思わせるカードです。

2004/05/23
「神秘のタロット占い入門(榊その著)」の「0 THE FOOL」
私が生れて2度目に入手したタロットです。(1つめは雑誌の付録)。
馬鹿な私は輪ゴムでカードを止めていて、傷がついてしまいました。
それほどのお気に入りではなかったのですが、傷のない品を求めて探しまわって入手しました。
(前のものも取ってあります)

カードはモノクロです。
全体が灰色に見えるのは経年による劣化です。
カードの吉凶度を表すマークを入れるなどの工夫がしてありますが、今の私はあまり感心しません。
でも、愛着があるんです。
ものすごく愛着があります。
そういうものですよね。

2004/05/30
「PAGAN TAROT」の「VI THE LOVERS」
イタリアのLO SCARABEO社には、何かのストーリーをコミック調に描いたタロットがいくつかあります。
これも、その1つ。
魔術結社に所属する女性(魔女)の物語のようです。
彼女はシングルマザーで、娘を母親に預け、自分は事務所のようなところで働いている、といった設定。

「恋人」には、「選択」の意味がありますから、このような別れ道を描いたカードはいくつかあります。
このカードでは、右側に母親と娘の姿があり、左側に魔術結社の人々の姿があります。
主人公は、母と娘の待つ、日の当たる家(右側の道の上には家があります)を選んだのでしょうか?
答は、他のカードを見れば明かですが。
彼女は自分で選べます。結果は己自身jが背負うものです。

2004/06/06
「TAROT(所 幸則)」の「XIII DEATH」
写真家の所氏がデザインしたオリジナルタロットです。
写真家らしく、写真ベースのCGデザインで、とても美しいものです。
このカードは地味な方ですね。

この解像度なら大丈夫だろうと思って掲載していますが、女性は全裸です。
左手に持っている鳥篭の中には男性の生首が入っています。
鳥篭の上部からは手首が伸びていて、生首の髪を掴んでいます。
彼は、大きく口を開け、呻き声を上げているようです。

このデッキは、他のカードを見ても、私には性的なイメージが強く感じられるのです。
添付の解説書を見ても、このカードからは再生のイメージはないようです。
私には、彼女は審判者のように見えます。

2004/06/13
「神秘のタロット占い(藤原あすか)」の「0 THE FOOL」
人の好みというものは変わるものです。
最初手に入れた時は、それほど気に入らなかったのに、後から好きになるということがあります。
このデッキは、そういった物の1つです。

カード全体がセピア色で、淡い水彩調で少女マンガ風の絵です。
この「愚者」髭面なんですよ。
このタッチで髭面というのが、面白いというか。
上着が派手で、ちょっと気取った感じがします。
背景も含めて、物語を感じる1枚です。

2004/06/20
「CRYSTAL TAROT(木星王)」の「IX THE HERMIT」
買ったのは随分前です。
添付されたCDは1度も聞いたことがありません。
カード自体はとても気に入っているのですが。

カードも絵も気に入っていながら、石の種類とカードの組み合わせが気に入らないのです。

パワーストーンに詳しいわけではありません。
単なる鉱石好きです。
小学生の頃から宝石図鑑なんて持ってました。
魔術師に銀、太陽に金、は良いとして、皇帝にはダイヤモンドかトパーズだろう!とか、死神は琥珀かブラッドストーン、ガーネットは女帝、法皇はアメジスト、等々。
パワーストーンに関係なく、ただのイメージですが。

で、隠者には翡翠。断然、翡翠。
納得の1枚です。

2004/06/27
「DELTIC TAROTS」の「KNIGHT OF PENTACLES」
「CELTIC」と名の付くタロットは、「アーサー王伝説」関連の場合が多いです。
もちろん、絡んでいないものもあります。
このデッキは、関連している部類です。

「アーサー王物語」とされるものだけで、いくつもあるとか。
「西遊記」みたいなものなのでしょうか?
民話や言い伝えを色々と神様と関連づけてゴチャゴチャとまとめて、華を咲かせて。

このデッキに登場する人物全体がそうなんですが、この白竜に乗る精霊(土着の神様の一族らしい)も楽しそうではありません。
背景の薄緑と茶色は大地の印です。
竜が飛び立とうとしているようには見えないのです。
何処から来て、何処へ行くのか。
この場で朽ち果てるのか。
妙な印象の1枚です。

2004/07/04
「TAROT OF LOVE」の「2 The High Priestess」
ロマンチックな題名と童話風の絵柄のために敬遠していたデッキでした。
実際のカードを手にして驚きました。
ここまで露骨な性表現はあまりありません(エロティックと銘打ったデッキは除く)。
確かに、花は植物の生殖器ですが。

この絵では分り難いですが、大アルカナは鶴を配しています。
鶴は、一生伴侶を守ると言われているからでしょう。
このカードでは、中央の天使のような人物の翼が鶴の翼です。

本来、恋愛と性は密接なものです。
ここまで大らかに表現されてしまうと、卑猥でも猥褻でもないですね。
性と生命も密接なもの。
このカードは愛と性と生命を高らかに歌い上げているように思えます。

2004/07/11
Medicine Cards」の「1 Eagle」
これは、タロットではありません。
ネイティブ・アメリカン系の占いカードです。
随分前に占い専門店で見かけて買ったものの英語版でして...
近年、日本語版が出版されていることに気づきました。
これは、日本語版です。

米国でもネイティブ・アメリカンの文化は「神秘的」なものであり続けています。
それだけ、彼らを異端者として扱い続けているのでしょう。
日本だってそうですよ。
アイヌ文化や沖縄の信仰を「特別なもの」として見ていることが多いです。

自分達が自然世界の一員であり、守護動物霊がいる、という考え方は日本の土俗信仰とも近いと思います。

絵柄は好きなんですけど、ちゃんと扱ってみたことがないです。
生きた信仰なのに、興味半分で触ってはいけない気がしてしまいます。
タロットには、そんな気がしないのは、既に信仰から離れてしまったものだからだと思っています。

2004/07/18
「NEW CENTURY TAROT」の「FOUR OF WANDS」
小アルカナには、カードの大半をシンボルが占め、下の方に象徴画が描かれています。
ライダー・ウェイト版では、塔の前を乙女達が踊っているような絵ですが、このカードでは、2人の人物がただ寄り添っているように見えます。

ちょっと、このところ疲れていて...時々、こういう絵が羨ましくなります。
普段は1人が気楽なのに。
人ってワガママですね。

2004/07/25
「AVALON TAROT」の「VI THE LOVERS」
アーサー王伝説を描いた劇画調のタロットです。
解説書を読んでいないのですが、イメージとしては、この2人はギネビアとランスロットですね。
ただ、私のイメージとして、ギネビアは黒髪なんですけど。
お姫様は、金髪の美女が定番なんでしょうか。

「夫である前に、王である」ことを求められたアーサー王。
最高の騎士であり、美丈夫であるランスロットに惹かれた王妃の気持ちも分らないではありません。
けれど、この過ちを彼女は悔いることになります。

一時の熱情に身を任せ、その後の一生を尼僧として過ごす。
それもまた、選択の結果なのでしょう。

2004/08/01
「IL TAROCCO MITOLOGICO」の「VII IL CARRO」
イタリアのギリシャ神話を主題としたタロットです。
神話の場面をカードの絵としています。
残酷の絵が多いです。それだけ、残酷な話が多いということでしょう。

戦車の後、人の足が縄で縛られて、引き摺られているのが分ります。
トロイア戦争でギリシアの英雄アキレウスがトロイアの英雄ヘクトルを殺して、死体を馬車で引き摺りまわす場面です。
当時のギリシアでは、死体を葬らないで辱めるということは、最大の侮辱行為だったのです。
彼らもまた、死後の世界があると信じていたからです。
そして、死体をきちんと弔うことで、死者が死後の国へ行けると考えられていました。

ある遺跡で、死体の周りから花粉の痕跡が見つかったそうです。
それだけ昔から、人は死者を弔って来たのでしょう。
弔うという行為は、その頃から大切な事だったのだと思います。

2004/08/08
「Inspiration Tarot」の「0 The Fool」
「絵が見えない」という方、それで正しいのです。
このデッキは、「自分で絵を描き込む」ものなのです。
だから、中央は真っ白。

このデッキは、下部の左側に惑星記号、右側に生命の樹が描かれています。
このカード「愚者」の場合「天王星」と、生命の樹ではケテル(王冠)とホクマ(智叡)のセフィラを結ぶ「路」が対応する、という意味です。

タロットとユダヤ教のカバラとの関係は、カバリスト(カバラの研究者?継承者?)の中にも懐疑的な人がいるようですから、鵜呑みにはしない方が良いと思っています。
タロットが魔術(魔法)と関連しているという立場の人には、カバラと関係あるとする方が多いようです。

最近は、このカードを見ていると白い部分に色々なデッキの絵柄が浮かんできます。
いつか自分なりの「愚者」を描きたいものと思っております。

2004/08/15
The Tarot of Gemstones and Crystals」の「The Moon」
宝石や貴金属や鉱石のタロットです。
絵ではなく、写真だけ。
占い用に使うなら、パワーストーンの知識が不可欠でしょう。
先日、書店でパワーストーンの本を見つけて、買いそうになりました。

宝石や貴金属類は好きですが、パワーストーン等を信じているわけではありません。
個人的に、銀、瑠璃、瑪瑙、翡翠、月長石、虎目石、スターサファイア(ルビー)、銅、紫水晶なんかが好きです。
鉱石の本は、衝動買いしました。
月長石は、上質の物を1つ欲しいです。
アクセサリーとしてではなく、触って、眺めていたいです。

2004/08/22
TAROT OF THE ANIMAL LORDS」の「II THE HIGH PRIESTESS」
最初に見た時、このカードは、IIIの「女帝」だと思いました。
「女教皇」ですね。でも、これも納得。

個人的には、象という生物は、聡明で頑固な印象があります。
この象は、アフリカ象でしょうか。
インド象だと、メスには牙がありません。
背景の森のイメージも気に入っている1枚です。

2004/08/29
水木しげる妖怪タロットカード」の「III THE EMPRESS −Bastetー」
守護の女神、豊穣と音楽、母性の神でもあるエジプトのバステトです。
手に持っているのは、シストルムという楽器らしいです。

このデッキ、カードが小さい!
漫画家の水木しげるさんが様々な妖精や精霊や神々や妖怪を描いておられるのに、小さい!
漫画家のタロットなのに、全部絵札なんです!
もっと大きい絵で見たいと切に願うものです。

2004/09/12
The TAROT of PRAGUE」の「THE MAGICIAN」
写真とCG合成のデッキです。
中央の男性像の右手は、本来は空ですが棒を描き足してあります。
テーブルも、その上の象徴も別の物です。
背景は、ちょっと画像が見難いですが、ヘルメスの絵かレリーフのようです。

着色がちょっと後付けっぽくて、人工的な感じがします。
このカードは、金と赤の2色で、背景の絵と合わさって、微妙なアンバランス加減が気に入っています。
男性像と頭と左手には植物があるのですが、何なのか分りません。
最初は蓮かと思ったのですが、違いました。
蓮だと、仏様ですね。月桂樹かな?

2004/09/12
The Rohrig-Tarot 」の「The Star」
9.11の追悼ニュースが目立った2日間、私は、米国のヒステリーの結果殺された大勢の人々と、これからも悪化の一途を辿るであろうテロ行為のことを考えていました。
タロットをかじった者ならば、世界貿易ビル崩壊の映像を見て、「塔」のカードを思い起こさずにはいられなかったと思います。
「塔」の次のカードは「星」なんですね。

このカードは、理知的な女性の横顔と、その頭上の星の輝きが明確なメッセージを伝えていると思います。
上の左右のルーン文字は読めませんが、右下の星座記号を崩したような文字は、水の流れを示しているのでしょう。

怖れや哀しみを越えてこそ、希望は掴める。
彼女の憂いを帯びた眼差しと決意の表情は、そう語っていると私は考えます。

2004/09/19
「AQUARIAN TAROT」の「XVI THE TOWER」
このデッキ、有名なイラストレーターの作品だそうです。
実際、1枚ずつが独立したイラストとして通用すると思います。
「THE MOON」はポスターにもなったとか。

今回、これにするか「THE STAR」にするか迷いました。
ちょっと気分的にこっちだったので、これになりました。
波が気になるんですよ。
絵的にはアクセントになってますけど。
美しい「塔」だと思います。

2004/09/26
「TAROT de EUSKALHERRIA」の「XXI THE WORLD」
地味な水彩画のスペインのタロットです。
英語名によると「バスク地方のタロット」だそうです。

相変わらず画像が見辛いですが、この「世界」、中央の人物に、ちゃんと乳房と男性器の両方が描かれています。
下半身は隠しているカードが多い中で、珍しいと思います。
「悪魔」は両方描いてあることが多いですが。

でも、中央で踊っている人物を「女性」だと明記しているタロットもあるんですよね。
女性だけでも子供は作れる、という解釈もあるとは思いますが(つまり、女性だけで完全体ということ)。

カソリックの宗教画では、純潔を表す百合の花にオシベを描かないそうです。
男は不潔だから要らないってことなんですかね?

2004/10/03
Aleister Crowley Thoth Tarot」の「XIV Art」
アレイスター・クロウリーは、大アルカナのタイトルを一部自己流に変えています。
一般的には「節制」のこのカードは、「技術」になっています。

私は、このタイトルの頭に勝手に「H」を付けています。
「心臓」です。「中心」という意味ではなく、体内に体液を行き渡らせるポンプとしての「心臓」。
生命の要、循環の源。

私は、「節制」のカードを見る度に「ホメオスタシス」という単語が頭に浮かびます。
生命は絶妙なバランスの上に保たれていますが、そのバランスが崩れても、その上でなおもバランスを取ろうとします。

クロウリーの解釈は、私とは全く異なるようです。
気になる方は、調べてみてください。

2004/10/10
「AQUARIAN TAROT」の「SIX of SWORDS」
今年は稀に見る台風の当り年だとか。
日本だけでなく、世界各地で大きな被害が出ているそうです。

台風というと、思い出すのがこのカードなのです。
妙に明るい紫色の雲の空。
小船に突き立てられた剣。
小船の行く水面は、穏やかそうに見える時もあれば、濁流に見える時もあります。

私は、幼い頃に1度水害に遭ったことがあるそうです。
記憶にはありませんが。
本来、このカードが水害を表すものではないことは、承知しています。
ただ、何故か私の中で結びついているというだけです。

また、私には、このカードは漂白のイメージもあります。
これだけ派手に突き立てていたら、そこから水が溢れてきそうな気もするんですよね。
で、沈む、と。
沈まないように動き続けていると思っています。
止まったら沈むから。
あくまでも、個人的なイメージです。ちょっと、変ですかね。

2004/10/17
「American Cats」
タロットではありません。
ただのプレイング・カードの裏模様です。
某玩具店で購入しました。
タイトルは「American」ですが、ウィーン製です。

暖かな南国、海の見える丘の上にたたずみ、月を見上げる黒猫の姿。
花が咲き、果実が実り、緑の芝生が美しい。
こういう時の猫は、哲学的思考に耽っているように見えます。
しかし、断言しますが、絶対に何も考えてません!

猫好きは、とにかく猫グッズに弱いです。良いカモですよね...

2004/10/24
「TAROT(中井 勲 著)」の「I THE HERMIT
マルセーユ版とライダー・ウェイト版を混合したような日本製タロットの「隠者」です。
このタロットには、批判もあるようですが、私は結構気に入っています。
いかにも日本人という気がします。
表面だけをなぞったように見えて、実はちゃんと自分の工夫も入れていると思うのです。
たとえば、このカード、隠者の杖に蛇が巻き付いています
アダムとイヴの楽園追放で、イヴに知恵の実を食べることを勧めたのはサタンが化けた蛇でした。
蛇は、日本でも神話や伝承が多いです。
人には謎が多い神秘的な生物に見えるのでしょうか。

2004/10/31
「Victoria Regina Tarot」の「0 The Fool
「ヴィクトリア女王時代」というのは、大英帝国の黄金期だった、と解説書にありました。
英国の推理小説に、しばしば「ヴィクトリア女王の時代は」とか「ヴィクトリア女王時代調の家具」という記述がありました。
国としては栄えていたのでしょうが、都会にホームレスが溢れた時代でもありました。

モノクロの細密画風の絵は、やはりこのレベルの画像では大変見辛いですね。
髭面の「愚者」は、若者のようです。
右手に杖を、左手には花を持っています。
後には犬がいて、愚者の尻に噛みついているようです。
若者の衣服はボロボロです。

かなりライダー・ウェイト版に近い絵作りのデッキですが、このカードのイメージは違いますね。
酔っ払って断崖でふざけて千鳥足になっているようにも、踊っているようにも見えます。
しかも、若者の顔は下を向いているようです。
自分が何処から来て、何処へ行こうとしているのか知っている者の姿とは思えません。
彼は自由なのでしょうか?
ちょっとそうは見えないんだけどなー。

2004/11/07
「AURA-SOMA TAROT」の「B0 DER NARR」
このカード、頭部が見え難いのです。
何故でしょう?
虹は、人物の中心部分から溢れ出しているようです。
足元には断崖と犬、彼の視線の先には白い鳩、右手に持つ袋は4つ(4大要素)あるのだそうです。

ちょっと薀蓄。
以前、ソフトウェアの色設定に関して聞いたのですが、白色人種の場合、瞳の色素が薄いため、色素の濃い黄色人種よりも明るさに敏感なのだそうです。
ですから、とても暗い色調に見えるこのカードの配色も、実は、製作者のドイツ人の方には明るく見えているのかもしれません。

2004/11/14
「THE QUEST TAROT」の「0 THE FOOL」
右上にルーン文字の欄もあり、カードには副題も付いているという、突っ込み所が結構あるデッキ。
カードの絵の内容も凝っています。

確かに、愚者は断崖の上でふらふらしていますが、彼の目の前に開けている景色は素晴らしいものです。
彼の最終的な目的地があの虹の彼方だとしても、今の彼は希望と幸福に満ち溢れているように思えます。
相当に危なっかしい、けれど幸福な出発。
夢と希望を抱いた若者というものは、周囲から見れば、皆こういう姿なのかもしれません。

2004/11/21
「THEMinchiate TAROT」の「XV THE TOWER」
現代版Minchiateの「塔」です。
天上からの炎に焼かれる塔の中から脱出しようとしている女性。
背後にいる者は、彼女を連れ戻そうとしているのか、彼女を押し出そうとしているのか。

解説書の最初の部分だけを読んだのですが、塔は「悪魔の家」で、悪魔が女性を地獄の口に連れ戻そうとしているとあります(断定はしていませんし、後半ではバベルの塔に言及しています)。
このコラムを書く時は、原則として解説書は読まないことにしています。
イメージが限定される気がして。
だから、時には、誰かが炎の中から彼女を逃がそうとしているように見えてもいいんじゃないかと思います。

2004/11/28
「ALBANO-WAITE TAROT」の「Pentacle VII」
ライダー・ウェイト版の色変わりデッキです。
背景色にこだわったり、強い色を使ったりしています。
好みが分れるでしょう。

どんな状態でも、不満を言い出したらキリがありません。
自分が不幸だと思ったら、不幸なんです。
周囲が自分を分ってくれないと考える人ほど、自分が周囲を思い遣る気遣いがありません。

この配色では、益々ペンタクルが貨幣に見えません。
本当に実や作物に見えます。
背景の紫の山々も気になります。
心の中で、カボチャとスイカと呼んでいます。

2004/12/05
「ALBANO-WAITE TAROT」の「Pentacle IX」
ライダー・ウェイト版と見比べると分りますが、中央の女性の左顔面が灰色になり、このカードの負の側面を強調しているようです。

少し前に、「自分の将来」という漠然とした問いで占ってみた所、最終結果にこのカードが出て、苦笑しました。
好きなカードではあります。

「IX」というのは、「X」から1足りないという意味なんですね。
「PentacleのX」は幸福な家族の絵です。
このカードの女性は裕福な暮らしぶりですが、家族がいないようです。
孤独を不幸と決めつけるのは良くないと思います。
自分の場所を見つけられれば、そこが家(Home)ではないでしょうか。
伴に暮らす人が見つけられなくても、それもまた人生。
無理に結婚しなくて良かったと「負け犬」は思ったりしています。

2004/12/12
「「AQUARIAN TAROT」の「NINE of CUPS」
今日読み終わった小説で思い出したのがこのカード。
小説の名は「レディ・ジョーカー(高村 薫作)」です。

地位、名誉、金、権力、を追い求め、自分のエゴを自覚することもない人々。
生きていくことだけで精一杯で、「牛馬のように」自分ではどうにもならない人生に為すすべもない人々。

豊かな国、日本。
たとえば、失業者が多いと言いますが、実は、人出が足りなくて外国人労働者に頼っている業種もあるのです。
豊か過ぎて、日本人は仕事を選り好みし過ぎるんですね。
そして、我慢が出来ない。
自分の贅沢な暮らしも自覚できなくなっている私達。
皆、このカードの男のような顔付きをしているのかもしれません。

2004/12/19
「LOVE IS IN THE EARTH CRYSTAL-TAROT THE TAROT FOR THE MILLENNIUM」の「I-THE MAGUS」
アレイスター・クロウリーの「トート・タロット」に基いたオリジナルタロットが少ないのは、クロウリー相手では崇拝者になってしまうからではないかと思います。
このデッキは、はっきりと「トート・タロットを拡張した」と謳っています。

1960−1970年代のヒッピー文化というものが、私には馴染めません。
でも、タロットには、明らかに、それを反映していると思われるものがあります。
物質のみに頼る世界から精神文明へと移行したいと思った彼らには、クロウリーのタロットは何か感じられるものがあったのかもしれません。
しかし、結局、彼らが頼ったのは、ドラッグであり、既存の宗教を中途半端になぞったものでした。
それを「卒業」してしまった人々が多い中で、今も続けている人がいる。
「若気の至り」ではなく、もっと掘り下げようとしている人が確かにいるのです。
ちょっと、凄いと思います。

2004/12/26
Grand Tarot Belline」」の「neuf sceptres」
タロットの小アルカナは大まかに「数札」の場合と「絵札」の場合とに分れますが、数札も色々です。
たとえば、棒の3の場合、ただ3本の棒を横に並べたり、放射線状に並べたり、三角形にしたり、とあります。
これが、アナログの醍醐味というか、「数」の素晴らしさだと思っています。
アラビア数字の「3」じゃないんですよ。
アラビア数字の場合は、意味を示す「記号」と化しています。この「記号化」がデジタルな世界です。

9を3角形が3つ、と表すこのカードは、何を考えているのだろう?と思います。
少なくとも、「10よりも1足りない」ではありません。
19世紀のタロットの復刻版ということ。
生命の樹の考え方が取り入れられた頃でもあります。
でも、生命の樹であれば、1番下の三角形はひっくり返っていると思うのですが。

あらゆるものを記号化することで科学文明は爆発的な発展を遂げたわけですが、人に近い部分はアナログなんだ、と思っています。